2025年には、日本の多くの中小企業が経営者の高齢化により事業承継の岐路に立たされるといわれています。中小企業庁の調査によると、70歳以上の経営者の約半数が事業承継の準備をしていない状況です。このままでは、多くの企業が後継者不在のまま廃業に追い込まれる可能性があります。そこで、本記事では、事業承継を円滑に進めるためのDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用法について解説します。
事業承継の現状と課題
現在、多くの中小企業が事業承継を円滑に進められずにいます。その主な理由は以下の3つです。
・後継者が決まっていない
・経営ノウハウが属人的で引き継げない
・財務状況が不透明で、引き継ぎに不安がある
これらの課題を放置すると、後継者が決まらず、黒字経営の会社でも廃業を余儀なくされるケースが増えてしまいます。
DXを活用した事業承継のメリット
DXを活用することで、事業承継をスムーズに進めることができます。特に、次の3つのポイントが重要です。
➀ 業務の見える化と標準化
属人的な業務をデジタルツールで可視化することで、後継者への引き継ぎが容易になります。
例えば、クラウド型のERP(統合基幹業務システム)や業務管理ツールを活用すれば、経営データを一元管理でき、後継者がスムーズに業務を把握できます。
CASIO(EZ販売管理)
特徴
➁ データドリブン経営の導入
従来の経営者が勘や経験に頼っていた部分を、データを活用した意思決定にシフトすることができます。
例えば、売上や財務状況をリアルタイムで可視化するBIツールを導入すれば、経営状況を数値で把握でき、承継後のリスクを減らせます。
➂ DXによる業務効率化とコスト削減
DXを活用すれば、業務の自動化が進み、後継者が引き継いだ後の負担を軽減できます。
例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入すれば、経理や請求処理などの定型業務を自動化でき、人手不足のリスクを低減できます。
DXを活用した事業承継の進め方
DXを事業承継に活かすためには、以下のステップで進めると効果的です。
ステップ➀ 業務フローの整理とデジタル化
まず、現在の業務フローを見直し、無駄な業務を削減しながらデジタル化を進めます。
例えば、紙の書類を電子化し、クラウドで管理することで、業務の可視化が進みます。
ステップ➁ 経営データの一元管理
売上、在庫、顧客情報などの経営データをクラウドに移行し、一元管理することで、後継者が迅速に状況を把握できるようになります。
ステップ➂ 後継者のITリテラシー向上
後継者がデジタルツールを活用できるよう、研修を行い、ITリテラシーを高めることも重要です。
まとめ
2025年問題に備え、事業承継の準備を進めることは、中小企業にとって喫緊の課題です。DXを活用すれば、業務の可視化、経営の効率化、リスクの低減が可能になり、後継者がスムーズに事業を引き継げます。
事業承継を成功させるためにも、今のうちからDXを積極的に取り入れ、持続可能な経営の土台を築きましょう。